オフロードだけではない万能性が光る
セローが現行モデルへと進化したのは05年のこと。新たな排ガス規制に対応することも視野に入れた、満を持してのモデルチェンジであった。デビューから20年にわたる市場での支持を熟成を背景に、“操る楽しさナンバーワン”というキーワードで開発。まず燃料供給装置には、当然ながらフューエルインジェクションを採用。排気量も拡大され、225ccから249ccとなった。セローの持つ世界観は変わることはないけれど、軽二輪としてフルスケールの排気量を得たことによって、市街地から林道まで、ときには高速道路も力強く走れるパワーをも手に入れた。またデザインも、セローならではの自然に溶け込むような有機的なスタイルを採用した。
またセローを語るうえで、「舗装路でも違和感がないイメージ」というのは大いに注目すべき要素だ。オフ車としては低めに抑えられたシートは、ストップ&ゴーを繰り返す街中ではありがたい。エンジンは低回転域でもねばり強いので、混み合った市街地でも重宝する1台だ。
DETAIL
RIDING POSITION & FOOT HOLD
ハンドルの位置が若干体に近く少しきゅう屈さを感じるが、操作には問題ない。足で操作するブレーキやシフトチェンジもスムーズに行なえる。フラットなシートだけど表面がすべりにくくストッパーになり走行中も動かないのでフィット感が高い
●ライダー:身長178cm/体重78kg
シートの長さが十分あったので、ソロで乗っているときと変わらずにまたがっていたけど、タンデムしてもきゅう屈な感じはしなかった。タンデマーはステップを踏み台にしてまたがるようになったけど、車体が軽いのでふらつくことはなかった
●タンデマー:身長161cm/体重45kg
クッション性がよくシートの座り心地は良好。かなりスリムなシートなのでライダーとの密着感は高めだけれど、十分な長さがありきゅう屈感はない。グラブバーも装備されていて安心して乗ることができる
COLOR VARIATION
SPECIFICATIONS
- 全長×全幅×全高
- 2,100×805×1,160mm
- 軸間距離
- 1,360mm
- シート高
- 810mm
- 車両重量
- 130kg
- エンジン型式・排気量
- 空冷4ストロークOHC 2バルブ 単気筒・249cm3
- 最高出力
- 14kW(18ps)/7,500rpm
- 最大トルク
- 19N・m(1.9kgf・m)/6,500rpm
- タンク容量
- 9.6L
- 価格
- 49万3,500円
STAFF’S IMPRESSION
高速も意外にいけるオフロード
250クラスのオフ車というと「高速がツライ」という言葉が常套句になっているけど、どうしてどうしてこのセローはなかなか高速も走ってくれる。もちろん6速のWR250R(セローは5速)とは比較にならないが、法定速度ならラクラク出せる性能を持っているから高速がつらくない。林道を軽やかに走るのももちろんだけど、ツーリングのほとんどを占めるのは、やっぱり舗装道路。そんなアプローチも楽しく作られたマシンがこのセローなのだ。
オフロードにもたくさん出かけたい!
足つきは片足になってしまうけれど、車体が軽いこともあってその状態でストップ&ゴーの多い街中を走ってもまったく不安なく楽しめる。とくに走り出しからの中速域はグングンと力強い印象を持つし、高速走行でも頼もしい走りを見せてくれる。ただ、上半身を起こすようなポジションなので、走行風がダイレクトに体に当たり、長時間走っているとつらいなと感じることも。だけどその走りは、オンロードはもちろん、オフロードももっと進んでみたいと思わせる楽しさと安心感がある。
「安心感」がキーワードじゃないかな
試乗して感じるのは、オフ車だから当たり前かもしれないけど、とにかく「軽い」ということ。編集部からも近いお台場エリアを走ったのだけど、こういった混み合ったところでもヒラヒラとよく走る。オフ車なのでシートが細いのがネックだが、ライディングポジションは取りやすい。足つき性がいいから立ちゴケする気がしないし、とにかく街中を走っていて何も不安なく乗れる。こういう安心感が、ビギナーにも支持される理由なんだろうな。