MotoGPの技術をフィードバック
現行モデルは08年に発表された7代目。日本の騒音や排ガス規制に合わせてエンジンをチューニングし、国内仕様として販売されている。7台目としてとくに注目すべき要素は、エンジンに“クロスプレーン型クランクシャフト”という斬新な機構を採用していることだろう。一般的な4気筒エンジンは2気筒ずつ等間隔の爆発タイミングとなっているが、クロスプレーン型クランクシャフトは、1-3-2-4という順番で1気筒ずつ、不等感覚となっている。これにより、不要な慣性トルクのノイズを取り払い、スロットル操作にダイレクトに反応するようなフィーリングを実現している。要は、エンジン内部に非常に画期的な機構が組み込まれているというわけだ。ちなみにこのクロスプレーン型クランクシャフトというのは、MotoGPマシンであるYZR-M1からフィードバックされたテクノロジーである。
もちろんエンジンだけでなく、頭のてっぺんからつま先まで、とにかくヤマハの持てる最新技術がすべて詰め込まれた1台。ビギナーだって、こんなバイクを夢見たっていい。
DETAIL
RIDING POSITION & FOOT HOLD
●ライダー:身長178cm/体重78kg
ポジションはスーパースポーツだけにネイキッドモデルに比べれば前傾気味ではある。ただし、決してキツい印象はない。コンパクトに感じるもののシートが前後方向に長さがあるので、きゅう屈に感じることはない
●ライダー:身長178cm/体重78kg
タンデマーの上体が起きていれば、背中に圧迫感を感じることはないが、ヒザがお尻部分に干渉するので、ライディング自体にはかなり影響がある。タンデムでのスポーティな走りはしないほうがいいだろう
●タンデマー:身長151cm/体重43kg
シート面積は必要最小限という印象。車体にはつかまる部位もないのでライダーの腰に手を添える形となるが、座面が高いため、前傾姿勢をとってもライダーとのすき間は埋まらず、心もとない感は否めない
COLOR VARIATION
SPECIFICATIONS
- 全長×全幅×全高
- 2,070×715×1,130mm
- 軸間距離
- 1,415mm
- シート高
- 835mm
- 車両重量
- 212kg
- エンジン型式・排気量
- 水冷4ストロークDOHC 4バルブ 並列4気筒・997cm3
- 最高出力
- 107kW(145ps)/11,000rpm
- 最大トルク
- 99N・m(10kgf・m)/10,000rpm
- タンク容量
- 18L
- 価格
- 141万7,500円
STAFF’S IMPRESSION
エンジンのフィーリングが独特!
これまで並列4気筒エンジンというと「ヒューン」とか「シューン」と吹け上がるイメージを持っていた。しかしこのR1は、アイドリング時には「ドドッドッド…」という感じで「これがクロスプレーン型クランクシャフトかぁ!」と感じさせてくれる。吹け上がりの感覚も独特で、従来の「ヒューン」という感じじゃない。この辺のフィーリングの独特さは、ビギナーにも絶対に体感できるはず!
攻めたくなる素性のよさが光る
アクセルを開け始めたときのエンジンのなめらかさは、特筆に値する。エンジンのフィーリングはモードによってかなり差があり、路面状況や、用途に合わせて使い分けると、より走りを楽しめるのではないだろうか。ブレーキは前後ともにコントロールしやすく、必要にして十分な制動力がある。またバイク上でライダーは動きやすく、車体も軽いので連続するコーナーでも切り返しがしやすく、安定感も十分である。