ハーレーらしいチョッパーテイスト
ひと口に「ハーレー」と言ってもさまざまなシリーズがあり(メーカーではこれを「ファミリー」と呼んでいる)、それぞれのファミリーが独自の個性を持っている。ここで紹介するダイナ・ワイドグライドは、その名のとおりダイナ系(ダイナファミリー)のモデルだ。
ダイナ系の特徴は、“ダイナグライドフレーム”を採用していることで、ソフテイル系などに比べるとスポーティなモデルといえる。2010年に、3年ぶりに復活したワイドグライドは、非常に個性的なルックスを持っている。タンクには炎のカラーリングパターンがほどこされ、スラッシュカットされた極太マフラーを装備。またハンドルには“インナーナルワイヤハンドル”というものが採用されており、スイッチボックスなどにつながる配線をハンドルパイプ内に通すことでスムージング化し、ハンドルまわりをすっきりとした印象にしている。ほかにもLEDテールランプや、ノーマルフェンダーをカットした“チョップドリアフェンダー”などを装備しているのだ。多くの人が思い浮かべる「ハーレー」の姿を具現化したような1台ではないだろうか。
DETAIL
RIDING POSITION & FOOT HOLD
●ライダー:身長178cm/体重78kg
ハンドル位置が高く、シートはタンクよりも下がるためグリップ部分が胸の高さにくる。さらにステップはハンドルよりも前にあるため足を投げ出すようなスタイル。ステップに届かせるために足はほとんど伸びきってしまう
●ライダー:身長178cm/体重78kg
前後でシートに高低があるため、お互いのスペースが干渉されることはない。また、シートが低いこともあってタンデマーの乗車もラクにできるので車体のバランスをくずすことはなかった
●タンデマー:身長151cm/体重43kg
シートはライダーと座面が分けられた鞍型で、幅は狭いものの厚みがあり、座り心地は快適。パイプ状のグラブバーがお尻をホールドしてくれるので安心感も抜群。ライダーとの距離は近めだがきゅう屈ではない
SPECIFICATIONS
- 全長×全幅×全高
- 2,436×918×1,180mm
- 軸間距離
- 1,740mm
- シート高
- 680mm(ライダー乗車時)
- 車両重量
- 310kg
- エンジン型式・排気量
- 空冷4ストロークOHV V型2気筒・1,584cm3
- 最高出力
- -
- 最大トルク
- 113N・m(11.5kgf・m)/3,000rpm
- タンク容量
- 19.3L
- 価格
- 200万円
- カラーバリエーション
- ビビッドブラック
ビビッドブラックフレイム
クロームイエローフレイム
セドナオレンジフレイム
STAFF’S IMPRESSION
ハーレー感を存分に味わえる1台
大柄な車体がとにかく大迫力で、どことなくであるがそのスタイリングに生産国である“アメリカ”という国を感じてしまうのは僕だけだろうか? ステップも日本車に比べると遠いし、ハンドルもかなりワイド。身長172㎝の僕でもちょっと大きく感じるぐらいだ。実際、しっかりハンドルとステップに手足が届くように座ると、背もたれと腰に拳1つ分の隙間ができてしまった(まぁ、足の長さもあるんだろうけどね…)。エンジンをかければ“ドコンッ”と大きな音をたてて始動するVツイン。ブルブルと震えながらアイドリングするさまは、まさにハーレーそのもの。ここまでエンジンの鼓動をダイレクトに感じられる車両も現行車ではめずらしいし、走り出しのダッダッダッと地面を蹴るような力強いフィーリングも存分に楽しみたいところ。だがこの強烈な鼓動感も、アイドリングから低速域までの話。少しスピードを上げれば一気にこの鼓動感が収束し、乗りやすいマイルドなフィーリングに変化。人にもよると思うけど、この鼓動感が原因で疲れるなんてことも少ないんじゃないかな。
“バイク見知り”をしてたけど…
両足を前方に投げ出すようなポジション、バイク全体から響きわたる「ドッパーン…ドッドッド…」というエンジン音、そして鉄の固まりと化した重い車体…。いつもなら挙手制で乗りたいバイクに飛び乗る私だけど、コレは最後まで横目でチラ見をしてようすをうかがっていた存在。だけど、そんな薄情者の私より先に歩み寄ってくれたのもこのFXDWGだった。ビギナーの私にでも恐がらせずに、車重のあるドッシリとした安定感を与えてくれて、少し不安のあった高速道路でもつねに一歩リードしてくれる。ただ、上り坂などで重心が後ろに下がってお尻がズレる際にステップへ伸ばす足がギリギリになって、ギヤチェンジなどの操作が少しもどかしくなった。小柄な人はちょっと戸惑う場面かも。でもライディング自体はホントに快適。他のドライバーからの熱い視線(勘違い!?)にも、ちょっと気分も上昇気味(笑)。加えてバイクに負けず劣らず一緒にファッションも楽しみたくなるハズ♪ そんな所有感が味わえるのも、このFXDWGの魅力だと思うな~。