350㏄までに最適化した専用設計
バイクに用いられているチェーンとは、基本的に排気量を基準に太さやサイズなどが設定されている。だから125㏄クラスは420-428サイズ、250~400㏄クラスは520サイズ、400㏄以上のクラスは525-530サイズ、といった具合にメーカー純正チェーンは排気量ごとにサイズが異なっているわけだ。さらにいえば、たとえば520サイズでもグレードによっては複数のタイプが用意されていることもめずらしくない。中には125~250㏄クラス用、250~400㏄クラス用、250~650㏄クラス用と設定されていることもある。
では、250㏄クラスのモデルのチェーンを社外品に交換しようと考えたとして、520サイズの中から何を基準に選ぼうとするだろうか? ここでよくある勘違いが“ハイパワー車向けの製品が最良である”というもの。しかし、排気量が大きくなるとチェーンサイズが大きくなるのと同じ理由で、ハイパワー車向けチェーンは大パワーでチェーンが回転することを見越した引っぱり強度や耐久性に設定されており、どうしても重くなりがち。つまり軽量モデルにとってはフリクションロスにつながることも多々あるわけだ。そのため江沼チヱン製作所が従来、250~650㏄クラス用として発売していた520SRX2では、250㏄クラス用としては決して最良のバランスだとはいえなかった。オーバースペックだったわけだ。
そこで江沼チヱン製作所ではあらためて、350㏄までの使用を想定した新チェーンを開発。それがここで紹介する520LMXだ。このターゲットの絞り込みによって各部の最適化が進み、520SRX2と比較して12%の軽量化を達成した。そのうえで、最新の設計思想で作られたNXリングでシーリングし、耐久性を持たせつつフリクションロスを低減させたのである。“シールチェーンは耐久性に全振りした、重くてフリクションロスのカタマリ”みたいなイメージは今のユーザーにはないだろうが、プレートとプレートの間にシールを挟み込むシールチェーンとは、ふた昔前なら耐久性を最重視したツアラー用であって、レース用としては完全に不向きとされた製品だった。それが今では技術の進歩が進み、同社製なら公道仕様として設定されたチェーンであってもレースで問題なく使用できるという。
これは元・MoToGPライダーの中野真矢氏が率い、現在は全日本ロードレース選手権J-GP3に特別招待枠(現在のライダーは13歳)で参戦する、56レーシングにも2019年から採用されたことでも証明されている。19年のCBRドリームカップで好成績を残したことからも、その性能の高さは折り紙付きといえるだろう。
レースでも使用できる抵抗の少なさ=運動性能の高さに加え、最新のNXリングで耐久性も確保した公道向けシールチェーン520LMX。350㏄までのモデルにとって最良のチェーンが登場したといえるだろう。
メンテナンス用品もラインナップ
高性能なチェーンも定期的なメンテナンスあってこそ性能が維持できる。そのためのチェーンクリーナー&チェーンルブもEKチェーンから発売中。もちろん520LMXにベストマッチ
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