かつて、ヨーロッパからアフリカの大地を駆け抜けたパリ・ダカールラリーは、今では南米へとそのステージを移した。それにともない、名称もダカール・ラリーへとその名をあらためた。また、1994年にレギュレーションが改正され、市販モデルのみが参加可能とされるまでは各社から大排気量のファクトリーマシンが出走し、迫力のレースを繰り広げていた。
新型アフリカツインには、かつてのファクトリーマシンのノウハウを受け継いだ過去のアフリカツインの伝統と、新時代のダカール・ラリーマシン、CRF450ラリーのエッセンスが受け継がれている。
XR500R パリ・ダカ仕様(1982年)
パリ・ダカール・ラリー第4回大会で、ホンダが参戦2年目にして初優勝を勝ち取ったモデル。
市販モデル・XR500のエンジンを約50ccボアアップして7馬力の出力向上をはたした空冷4ストローク OHC単気筒 4バルブ 555ccエンジンは、最高出力42psを発揮した。細かな砂への対策に加え、現地販売の粗悪なガソリンへの対応としてツインプラグ化を実施するなど、万全の対策が行なわれていた。
NXR750(1986年)
第3回大会より、パリ・ダカールラリーへの参戦を始めたホンダ。パリ・ダカのために開発されたワークスマシン・NXR750は、86年の初参戦以来、4年連続で優勝を勝ち取るという快挙を達成することとなる。
水冷4ストローク V型2気筒 OHC4バルブエンジンと大容量のタンクを覆う、フロントからサイドまで連続したフルカウル。その大迫力のマシンが土煙を上げながら走る姿に、あこがれた人も多いのではないだろうか。
ここで蓄積されたノウハウや、そのスタイリングが1988年に登場するアフリカツインへと受け継がれていったのだ。
NXR750(1989年)
最終型となるNXR750。フレームのパイプサイズのアップや、インナーチューブ径φ45mmのフロントフォークの採用など、車体の大幅な剛性アップが図られたこのマシンで、ホンダはパリ・ダカ4連覇を達成。
779.1ccのVツインエンジンは75ps超を発揮し、砂漠の上を180km/h近いスピードで走り抜けていったのだ。
CRF450RALLY(2014年)
1989年以来、実に24年ぶりにワークス体制でのダカール・ラリー参戦を表明したホンダ。復帰1年目の13年大会では7位、14年大会は5位、そして今年1月に行なわれた15年大会では2位を獲得しており、来年度の優勝に期待がかかるところである。
ホンダのダカール・ラリー参戦マシン・CRF450ラリーのベースは、エンデューロモデルのCRF450X(13年モデルに限る)。14年モデルでは車体やエンジンのすべてを完全新設計。完全なファクトリーマシンとして生まれ変わった。ホンダは主催者側に、1年以内にCRF450ラリーを市販することを約束し、市販車に限るというレギュレーション上の規制をクリア。
450cc単気筒エンジンながら、過去のNXR750とそん色のない175km/hの最高速(2014年モデル時点)をマークするというから驚きだ。
スタイリングこそ異なるが、今回の新型アフリカツインにそのカラーリングがしっかりと引き継がれている。