1957年に制定されて以来、デザインによって我々の暮らしや社会をよりよくしていくための活動として製品や建築、ソフトウエア、システム、サービスなど、さまざまなプロダクト製品に対して贈られている「グッドデザイン賞」。毎年、さまざまなプロダクト製品が受賞しているが、2022年度のグッドデザイン賞がこのたび発表された。バイク関連に関しては4製品が受賞。それぞれモーターサイクル、電動2輪車、コンプリートカスタムバイク、バイク用インカムとなっている。
モーターサイクル
モーターサイクルとしては、ハスクバーナ・モーターサイクルズのノーデン901が受賞。審査委員の評価としては「アドベンチャーバイクはオフロードや舗装路を安心して安全に長距離走行する機能と性能が視覚的に求められる。ノーデン901はアドベンチャーバイクの様式を守りながら北欧ブランドが得意とするモダンなデザインランゲージを用いることで、従来の荒々しい表現とは異なる手法で高い機能を実現している。そのクリーンな佇まいは新鮮だ。ハスクバーナ初のアドベンチャーモデルとして、モノトーンにイエローアクセントのCMFが若々しい印象を与え、ブランドの統一感を表現している」とのことだ。
電動2輪車
電動2輪車としてはヤマハのTY-E2.0が受賞。「企業内の自主研究制度から生まれたイノベーションという点が興味深い。モーターサイクルメーカーの豊富な知見を生かしてライダーと観客そして環境問題の三方良しを実現したプロジェクトチームの意欲的な活動成果を高く評価する。電動トライアルバイクのパイオニアとして性能とスタイリングの進化に留まらず、競技フィールドの変革(室内競技としての可能性)やバランス感覚を養う新たな健康競技への発展など、新たなビジネスチャンスの創造をぜひ期待したい」と評価されている。ヤマハからはバイク以外にも自動搬送サービス「eve auto」と次世代電動操船システム「HARMO」が受賞しており、次世代電動操船システム「HARMO」はグッドデザイン・ベスト100にも選出されている。
カスタムコンプリートバイク
カスタムコンプリートバイクとしてプロトのZDCが受賞。「美しい中古車のスタイルそのままに、安心でメンテナンスのストレスのない、バイクとの付き合いができたら。そのような、ビンテージバイクを愛する人たちの願いを叶える、ソリューションである。90年代のハーレーのベース車両を、オーバーホールと、オリジナルの専門パーツを組み合わせ、手間がかかって恐る恐るのるビンテージでもなく、改造車でもなく、クラシックな見た目の新車として生まれ変わらせることを実現している。それぞれの中古パーツは驚くほど丁寧に磨き上げられ、また、新しい部品とも調和し、見事な完成度である。移動の道具ではなく、それぞれの車体への思い出、こだわり、所有欲と、時代にあった安全性を両立させ、ビンテージバイクとの新しい付き合い方を提案する、精神的にも製造的にも魅力的で、エコロジカルなデザインとして評価したい」と評価されている。なおバイクではないが、同じくプロトが取り扱うべネリのイーバイクも2022年グッドデザイン賞を受賞している。
バイク用インカム
バイク関連アイテムのバイク用インカムには、サイン・ハウスが展開するB+COM(ビーコム)のB+COM PLAY(ビーコム プレイ)が受賞。「ヘルメットがエアロダイナミックなフォルムになる中、無骨な形状が多かったインカムの中にあって、有機的な造形としたことに好感が持てるし、ブラインドタッチが前提であることを想定した1面1ボタンという考え方にも共感した。タンデムのための機器と思われていたインカムを、コロナ禍で移動のために二輪車に乗る人が増えている時流を把握し、ソロのライダーに向けて送り出したという対応にも感心した」とのことだ。
グッドデザイン賞はバイク以外にも本当に多種多様なプロダクト製品が対象で、審査対象は5,715件に及び、10月7日に発表されたグッドデザイン賞の受賞件数は1,560件(受賞企業数1,099社)。11月1日にはさらにグッドデザイン大賞が決定されることになる。本賞は製品やサービスが年々洗練されていくことを顕彰するということでもあるので、我々の生活にとっても有意義なこと。来年にはどんなバイク関連の製品やサービスなどが対象となるのかにも注目だ。