EV CUB CONCEPTの流れ
過去の東京モーターショー出品モデルを振り返ってみると、あのモデルはここにつながっているのでは? と、気付くことがある。そこで、2007年からの東京モーターショーを振り返り、2015年の東京モーターショーに出品されたモデルにつながる流れを見つめてみよう。また、その流れの先に何があるのかも…。
2015年の東京モーターショー・ホンダブースにて展示されていたEVカブコンセプト。このモデルが初めて出品されたのは、2009年のこと。6年のブランクを経てふたたびボクたちの前に現れたEVカブは着実に進化を遂げていた。
EVカブのイメージソースは、1958年に登場した初代スーパーカブ(C100)。ハンドルまわりの造形や、赤いシートに初代の影を見て取れる。”世界の人々から愛される、扱いやすく経済的な二輪車”というカブの魅力をEVで実現しようとしているのだ。
2009年 EV CUB
2009年の東京モーターショーに出品されたEVカブ。バッテリーを車体中央部にレイアウトすることで、シート下にはメットインスペースを確保。この年に同時に出品されたLOOPというツールを持っているオーナーが車両に近づくと、ミラーやライトに内蔵されたランプが点滅し、起動・終了を告げてくれる。
また、前輪・後輪の両方にインホイールモーターを搭載した2輪駆動方式を採用していた。
が、この段階ではまだモックアップの状態で、実際に走行することは不可能であったのだ。
2015年 EV CUB CONCEPT
そして、6年の時を経て2015年にふたたび登場したEVカブコンセプト。”近距離移動用パーソナルコミューター”と、使用用途が明確にされた。そのルックスは、基本的に2009年のEVカブのモノを継承しているが、ミラーやヘッドライトなどが市販車的な造形となった。バッテリーは着脱式となり、家庭用のコンセントでも充電ができるようにレッグシールドの内側に電源プラグも備えられている。
また、前輪のインホイールモーターは廃止され、駆動方式は通常の後輪駆動となった。リヤホイールは片持ち式となり、車体の片側にのみリヤショックが取り付けられている。LOOPとの接続機能も廃止されており全体的にトーンダウンしたような印象も受けるが、市販化に向けてより現実味を帯びてきたと言えるのではないだろうか。
なにより、このモデルはすでに走行可能な状態まで作り込まれており、現在は走行距離とパワーのバランスを検討中だとか。
そしてこの先…。電動バイクのマスターピースとして、EVカブが登場する日はそう遠くないのかもしれない。
過去のコンセプトモデルをピックアップ
2007年 CB1100R
かつて同名のマシンが1981年から1983年にかけて販売されていたことがあるCB1100R。2007年の東京モーターショーにて出品されたコンセプトモデルの同車も、レースに出場するためのホモロゲーションをクリアするためのマシンであったCB1100Rのスポーツマインドを受け継いでいる。エンジンはCB1100の空冷4気筒1,140ccエンジンを搭載。丸目2灯のフロントカウルは、ホンダが1976年に開発したレーシングマシン・RCB1000を意識してのモノだ。
2007年 EVO6
2007年に登場したコンセプトモデルのEVO6は、その名のとおり水平対向6気筒エンジンを採用したスポーツクルーザー。ゴールドウイングに搭載されるモノと同様の1,832ccエンジンはオートマッチックトランスミッションを採用。5灯式のLEDヘッドライトや、うねるようなエキゾーストパイプが特徴的なマシンだった。
2011年 RC-E
2011年の東京モーターショーに出品されたEVスーパースポーツのコンセプトモデル。250ccクラスのコンパクトな車体サイズに、ブレンボやオーリンズといった一級品のパーツを組み合わせ、電動バイクならではのトルクフルでスムーズな走りが楽しめることを追求していた。
2011年 MOTOR COMPO
2011年の東京モーターショーに出品されたモーターコンポは、1981年に販売されたモトコンポの進化形だ。”コンパクトカーに積めるバイク”をコンセプトに開発されたモトコンポは、クルマで移動した先で自由に行動するためのバイクで、ハンドル・シート・ステップは折り畳んで収納することができ、積載時には箱型になった。
そんなモトコンポのDNAを受け継いだモーターコンポは、”乗らないときでも使えること”を意識したEVモデル。走行用のバッテリーは取り外して電源としても使用可能な作り。