初代GSX-R750が登場してから実に11年後の1995年12月。フレーム・エンジンなど、すべてを刷新した新生GSX-R750が登場することとなる。1992年モデルですでにエンジンの水冷化を受けていたGSX-R750だが、その時点ではアルミダブルクレードルフレームの継続採用などもあり、初代モデルの面影を強く残していた。
1985年以来、4年連続で750㏄クラス国内年間販売台数でトップを獲得するなど、登場当初は飛ぶ鳥を落とす勢いであったGSX-R750 。しかし、年月が経つにつれ基本設計の古さゆえに、他社のマシンにレースシーンで後れを取っていくこととなり、それと同時に販売面でも苦戦を強いられる。
そんな状況を打破すべく送り出されたのが、この1996年モデルのGSX-R750 だ。
エンジンは新設計のショートストローク(ボア×ストロークは72×46mm)設定とし、最高出力を追求。輸出仕様では128PS(イタリア仕様)を発揮していた。また、サイドカムチェーン方式の採用や、ミッション・クランク・ドライブシャフトを短縮することなどでエンジンのコンパクト化が徹底的に意識されていたのだ。
シャシー設計には、スズキのGPマシン・RGV-Γの思想が取り入れられている。新設計のアルミツインスパーフレームはもちろんのこと、当時、750ccクラスでは最短であった1,400㎜のホイールベース設定などがその代表例。その他にも、大胆なスラントノーズや独特な形状のテールカウルなどに同マシンからのフィードバックが活きている。
ちなみに、特徴的なコブ付きのテールカウル部に入れられている“SRAD”の文字はスズキ・ラム・エア・ダイレクトインダクションシステムの略だ。これは、フロントカウル部に設けられたダクトから走行風を取り込む際に、速度の上昇に応じて過給効果が得られるシステムとなる。
その後、1998年に燃料供給システムがキャブレターからフューエルインジェクションに変更されるとともに、各部の熟成が図られる。なお、国内仕様が販売されていたのは1998年モデルまでで、それ以降は輸出専用モデルとなっている。
1996年 GSX-R750のカタログの表紙
SPECIFICATIONS
車名(通称名) | GSX-R750(1996年) | |
---|---|---|
型式 | GR7DA | |
全長×全幅×全高 | 2,055×720×1,135(mm) | |
軸間距離 | 1,400mm | |
最低地上高 | 130mm | |
シート高 | 830mm | |
車両重量 | 179kg(乾燥重量) | |
燃料消費率 | WMTCモード値 -km/ℓ | |
定地燃費値 35km/ℓ | ||
エンジン種類 | 水冷4ストローク DOHC 4バルブ並列4気筒 | |
総排気量 | 749cm3 | |
内径×行程/圧縮比 | 72.0×46.0(mm)/11.8 | |
最高出力 | 56.6kW(77PS)/10,000rpm | |
最大トルク | 65.7N・m(6.7kgf・m)/7,500rpm | |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン | |
燃料タンク容量 | 18ℓ | |
エンジンオイル容量 | 3.5ℓ | |
潤滑方式 | ウェットサンプ | |
燃料供給方式 | キャブレター | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | フルトランジスタ | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
トランスミッション形式 | 常時噛合式6段 | |
ギヤ・レシオ | 1速 | 2.866 |
2速 | 2.058 | |
3速 | 1.650 | |
4速 | 1.428 | |
5速 | 1.260 | |
6速 | 1.120 | |
一次減速比/二次減速比 | 1.756/2.687 | |
キャスター/トレール | 24°00’/96㎜ | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70 ZR17 |
後 | 190/50 ZR17 | |
ブレーキ形式 | 前 | Φ320㎜ダブルディスク&対向6ポットキャリパー |
後 | Φ200㎜シングルディスク&片押しキャリパー | |
懸架方式 | 前 | インナーチューブ径Φ43㎜ ショーワ製倒立フロントフォーク |
後 | スイングアーム,シングルリヤショック | |
フレーム形式 | アルミツインスパーフレーム | |
乗車定員(人) | 2 | |
メーカー希望小売価格 | 98万8,000円 |
※メーカー希望小売価格は当時価格です