YZF-R7はMT-07をベースに開発された並列2気筒のスーパースポーツモデルで、YZF-Rシリーズの中で最後発となる。特徴としては、スーパースポーツ然としたスポーティかつ並列2気筒らしいスリムなボディに、モード変更やトラクションコントロールといった電子制御が介入しないシンプルな機能を組み合わせていること。電子制御機構がないことで、懐にやさしい価格にもなっている。中には“電子制御がないのか…”と残念に思う人もいるかもしれないけれど、その分、ライダーがマシンをしっかり操るという楽しさがあるのだ。
実際に乗ってみれば、低回転域から十分なトルクがあるので、ビギナーでも発進でナーバスになることはないだろう。そしてスロットルを開けていけば、レッドゾーンとなる1万rpmまでよどみなくスムーズにエンジンは吹け上がり、その間、車速もスムーズに上昇し、2気筒らしいサウンドがしっかりとライダーに響いてくる。そして、中〜高回転域を維持しながら走れば、よりスポーティな走りを楽しむことができる。スリッパークラッチのおかげもあってクラッチレバー操作も軽いので、長時間走っても辛くなることはないはずだ。
ブレーキは前後ともに効き具合がわかりやすく、さらに制動力も十分。ハンドリングもコーナーでクイックに切れ込んだり、逆に入力に対してもたつきを感じるようなこともない。ライディングフォームの自由度が高く、積極的に体を動かしてマシンを操れば、それにしっかりと応える動きをしてくれる印象だ。まさにビギナーからベテランまで幅広い層が、バイクを操る楽しさを存分に堪能できるモデルだといえよう。
ここからは、低身長女性目線でのインプレションをお届けする。
つねに心地よさが感じられるスーパースポーツ
クラッチをつないだ瞬間からジワジワと加速し、他車から遅れをとらずにスムーズな乗り出し。スロットルをひねればアッという間に法定速度に達するが、体が置いていかれるような加速感はなく、人馬一体となったような心地いい加速感がある。2気筒だから“バタバタ”という擬音をイメージするかもしれないが、よく耳にする“地面を蹴っ飛ばすような加速感”とは異なる。速度が上がっていくとどことなく4気筒に近い鼓動感があり、いい意味で2気筒っぽさが薄いという印象だ。また渋滞しているところで低速走行をしてみたのだが、エンストする気配も、フラつくことも一切なく車体が安定していた。
ライディングポジションは、過去に所有していた2015年式YZF-R6と比較しても、ハンドルの低さは大差ない印象。かなりの前傾姿勢で、YZF-R25やR3からステップアップで購入すると、最初はそのレーシーなポジションに驚くかもしれない。とはいえ、乗りにくいというわけではないので安心してほしい。長距離を走れば確かに疲労を感じるかもしれないけれど、タンク回りがちょうどよいスリムさでしっかりとニーグリップさえできていれば、超フレンドリーに楽しめるバイクといえるだろう。
POSITION & FOOTHOLD
スリムな車体のおかげで、両足を下ろしてカカトまでベタ着きとなる。スーパースポーツらしい腰高なライディングポジションは、バイク上で動きやすい。動き続けるために、しっかりと体全体の筋力をつけたいところだ。身長170cm/体重70kg
シートは前方が細く絞られているので、巡航時はシート後方に腰をすえ、停車する直前に前方へズラせば安心して地面に足を着くことが可能。両足のツマ先が接地する。シート下も細く、太モモが開くこともない。身長155cm/体重46kg
SPECIFICATIONS
●全長×全幅×全高:2,070×705×1,160(㎜)●軸間距離:1,395㎜●シート高:835㎜●車両重量:188kg●エンジン種類・排気量:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒・688㎤●最高出力:54kW(73ps)/8,750rpm●最大トルク:67N・m(6.8kgf・m)/6,500rpm●燃料タンク容量:約13ℓ●燃費(WMTC):24.6㎞/L●タイヤサイズ:F=120/70-17・R=180/55-17●価格:105万4,900円
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