刺激的なトルク感ある加速が魅力のMT-07

 

ヤマハのスポーツネイキッドに冠せられたMTの意味をどれくらいの人が知っているだろうか? 知らなかった人のためにあらためてお伝えすると、“Master of Torque(マスターオブトルク)” の略となる。今のMTシリーズの祖は2014年発売となったMT-09で(最初のMTが付いた市販モデルは2004年に発表されたMT-01)、その発売時には『Master of Torque』と題されたアニメも制作されているのだ。


少し話がそれてしまったが、今回紹介するMT-07は、700(688cc)シリーズの起点となったモデルである。ファーストモデルが発売されたのは2014年で、MT-09に少しばかり遅れての登場となった。そのコンパクトな車体を目の当たりにし時、“えっ、400モデル?”と当時ビックリしたのを今でも覚えている。2度のマイナーチェンジを経て現行モデルにたどり着いているのだが、ネーミング通りのトルク感ある加速はずっと変わらない。ただし、以前荒々しかったのが現行モデルでは洗練された感はある。低回転からパンチのある2気筒らしいドコドコしたフィーリングをともなって加速していき、気を抜くと体が置いていかれそうになる感覚は、好きな人にはたまらないはずだ。アクセルを開けていけば、高回転域までスムーズにエンジンは回り、その間よどみなく速度も増していく。ブレーキは必要にして十分な制動力があるうえ効き具合もわかりやすいので、スポーティな走りにも対応できる。そして、コンパクトにまとまった車体が生み出すハンドリングは、低速から安定指向で、速度が増すとその安定性がさらに高まってくる。そんな特性により、街中のちょい走りから丸1日かけたツーリングまで幅広く使えるバイクといえ、その小回りの効く車体と元気なエンジンの組み合わせは、街中でのちょっとした移動をとても楽しいものにしてくれる。そして、その楽しさがこのバイクの個性となっているのだ。
先にアップしたYZF-R7のインプレッションに続き、ここからは低身長女性目線でのインプレションをお届けする。

ヒラヒラと軽快に走れる楽しさがある

R7と同じエンジンと聞いていたので、乗る前は、はたして乗り味に大きな違いはあるのだろうか? あったとして私に差がわかるのだろうか?と思っていた。そんな不安に反して、違いはいくつか見つけられた。発進時に感じたのはクラッチをつないだ瞬間の加速感だった。R7はジワジワと加速したのに対して、MT-07はグンッと走り出す感覚があり、信号待ちからの発進で、他車を引き離しアッという間に置いてきぼりにできてしまう。街中では6速まで使うことはまずないが、どのギヤでもアクセルをひねればスムーズに加速してくれて、とくに2速~3速がもっとも心地よかったし、なんとなくだが地面を蹴って加速する感覚というのが当てはまる気がした。また、車体の軽さとアップライトなハンドルのおかげか、ヒラヒラと軽快に走れるのがこのバイクの楽しさだと思う。数値より車体は軽く感じたし、コーナリングもバンクさせて曲がるようなスポーティでキビキビとした走りがすごく得意なのだと感じた。ただそれだけではなく、路地をゆっくり走るのも苦にならないし、小回りが利くのでUターンもしやすい。大型バイクに乗っている時のメンタル的な緊張感があまりないので、肩の力を抜いて走ることができる。R7との違いはあれど、ライダーフレンドリーなバイクだというところは共通しているのではないだろうか。

 

今年2024年、ヤマハは誕生から10周年となるMTシリーズに“ダークサイドオブジャパン(日本のダークサイド)”というキャッチフレーズを掲げた。そして、東京都心部でMTオーナーを中心に据えたナイトミーティングを行なうなど、“街中×夜”のイメージを強めている。この方向性が確かにマッチしている感じた今回の試乗だった。

 

メーターは5インチフルカラーTFT液晶で、速度、エンジン回転数、燃料残量、オド、2種類のトリップに加え、外気温やシフト位置なども表示できる。2種類の表示スタイルを選択可能。

スマートフォン連携機能“Y-Connect”にも対応していて、電話やメールの着信をメーターに表示できる。メーター表示内容の操作はハンドル右スイッチボックスのダイヤルスイッチで行なう。

アバンギャルドなヘッドライトまわり。センターのプロジェクターランプがヘッドライトでその左右の縦長の発光部がポジションランプとなる。ウインカー含めて光源はすべてLEDだ。

シート先端からガソリンタンク、カバーにかけてスムーズな面構成なので、積極的に走る際にスムーズに下半身の姿勢を変えることができる。また細身なので、ニーグリップもしやすい。

リヤサスペンションは、プリロードおよび伸側減衰が調整できるショックを採用。調整しやすいので、積極的に調整して変化を体感してベストなセッティングを見つける楽しさもある。

シートはライダーとタンデマーで分かれたスポーティな仕様。ライダーシートは薄めだが、1時間以上走り続けても痛くなるようなことはないほどのクッション性が確保されている。

メインキーで簡単に外れるタンデムシートには、裏側の4隅に必要な時に出して使える荷掛け用のナイロン製ルーブがある。シート上面がフラットなのでシートバッグを固定しやすい。

タンデムステップのガードは荷掛けフックとしても活用できる。ヘルメットホルダーが標準装備されているなど、細かなところで使い勝手のよさを追求しているのはユーザー思いだ。

 

POSITION & FOOTHOLD

両足を降ろしてカカトまでベタ着きで、軽くヒザにも余裕がある。だからといって、乗車時に腰下が窮屈に感じることはない。ライダーシートは、前後にそこそこ動ける長さがあるので乗車時にシート上で動きやすい。身長170cm/体重70kg

 

YZF-R7と比較すると圧倒的に足つき性良好で、両足の母指球あたりまで接地しバランスを崩しても踏んばれるくらいの安心感。前方が細く絞られていて、シート下もかなりスリムなため足はまっ直ぐに下へ降ろせる。身長155cm/体重46kg

 

SPECIFICATIONS

●全長×全幅×全高:2,085×780×1,115(㎜)●軸間距離:1,400㎜●シート高:805㎜●車両重量:184kg●エンジン種類・排気量:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒・688㎤●最高出力:54kW(73ps)/8,750rpm●最大トルク:67N・m(6.8kgf・m)/6,500rpm●燃料タンク容量:13ℓ●燃費(WMTC):24.6㎞/L●タイヤサイズ:F=120/70-17・R=180/55-17●価格:88万円

MT-07・ヤマハ製品ページ

CONTACT

問い合わせ先
ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
電話番号
0120-090-819
URL
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc

 

 

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