いよいよ夏本番。ライダーのみなさんはツーリングに行く際、適切な水分補給を行なっているだろうか。人によってはトイレが近くなるから、バイクに乗っている時はあまり飲まないようにしている人もいるかもしれない。しかし、水分を摂らないことは体にとって悪いことだらけだ。
水分不足が運動能力低下の要因になる
成人の場合体重の約60~65%が水分で構成されていて、この水の働きによって栄養素や代謝物の運搬、体温調節などが行なわれ、生命機能が保たれている。しかし、体内の水分が2%失われると運動能力が低下し、3%失われるとぼんやりしたり食欲不振につながり、さらに4~5%失われるとめまいや頭痛、脱水症状が現れ、10%を超えると生命の危機にさらされる可能性もあるという報告が上がっている。
体は運動による筋肉発熱量の増加、気温や日差しから熱を受けると、まず血流量を増やして放熱しようとする。それでも体温上昇が抑えられないと発汗し、皮膚表面から汗が蒸発する際の気化熱によって上昇した体温を下げるのだ。
また、血液の成分は約80%が水分のため、水分が減るということは体内で循環する血液量も減少(血圧低下)してしまう。血液量が減少すると、血流が悪くなり、結果として心拍数の上昇、さらに筋肉への血液供給量が減少し運動能力の低下が発生するのだ。
なので、我々ライダーにとって水分が2~3%失われるということは、運転時の集中力や判断能力の低下や、視界不良につながるなど、さまざまな危険性がアップするということをまずは十分に理解いただきたい。
適切な水分補給って? 熱中症を防ぐためには
ここからは具体的な水分補給の仕方について触れていく。
水分補給といってもただ水を飲めばよいというわけではない。汗にはナトリウム(塩分)が含まれていて、汗をかくと体からは水分と塩分が失われていく。水だけを大量に摂取してしまうと、血液中の塩分濃度が低下し低ナトリウム血症によるめまいや頭痛を引き起こす水中毒になってしまうので注意が必要だ。そのため水分補給をする際には塩分タブレットを食べたり、塩分や糖分を含むスポーツ飲料などを摂取することが望ましいとされている。
ちなみに糖分も合わせて摂取することが推奨されているのは、体内で水分を吸収しやすくなるからだ。
水分といってもなんでもいいわけではないということも覚えておいてほしい。日常的な水分補給であればお茶やコーヒーでもOKとされているが、ライディング時やスポーツで汗をかくような場面では、お茶やコーヒーはあまりオススメしない。理由としてはカフェインが含まれているため利尿作用が働き、補給した水分が尿として排出されやすく、脱水症状を引き起こす原因になりかねない。お茶を飲みたいならは麦茶やルイボスティーなど、ノンカフェインのモノを選ぶようにしよう。
また筆者も意外だと思ったのが、無糖の炭酸水は水分の吸収率が高く、水分補給としては効果的だということ。さらに、先日アサヒ飲料が発表した筑波大学との共同研究によると、暑い中での運動後に強炭酸水を飲むと、同条件で水を飲んだ場合よりも血圧低下による立ちくらみやめまいなどを防ぐ可能性があるとのことだ。
加えて水分補給のタイミングも大切な要素の一つで、体内に水分が吸収されるのにおよそ30分かかるとされているので、バイクに乗る前にコップ1杯の水を飲んでおくと安心だ。またバイクで目的地まで2時間かかる場合は、最低でも1時間に一回は水分補給を行なうか、ハイドレーションパックなどを使ってライディング中もこまめな水分補給を行なうこともオススメしたい。
日常生活において水分補給は非常に大切で。とくに炎天下でバイクに乗る際は効果的な水分補給を行ない、熱中症を予防し、夏のライディングを安全に楽しんでもらいたい。
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