5月からインプレッションを展開しているヤマハ・700(688cc)ロードシリーズ。YZF-R7、MT-07と続き、最後がXSR700だ。いわゆるネオレトロ系のモデルで、ヤマハではスポーツヘリテージとカテゴライズしている。国内販売がスタートしたのは2017年の初冬で、これまでに2度のマイナーモデルチェンジで熟成を図ってきた。
車格はMT-07ベースなのでコンパクトなんだけれど、特徴的なサイドカバーやテールが跳ね上がったシートなど目をひく部分があって、存在感がある。実際の走りで最初に気が付くのは低回転域でのトルク感がMT-07より抑えられていること。そのため発進時に無意識で勢いよくスロットルをひねっても上体が置いていかれるようなことはなく、スロットルワークにいちいちナーバスになる必要がない。とはいえ、高回転域までの加速に“ぬるい”と感じるようなこともなく、いわゆる“ちょうどいい”印象なのだ。ブレーキは効き具合をつかみやすくて、ワインディングを楽しむにも十分なパフォーマンスがある。ハンドリングも低速から高速までとくにクセを感じるような場面はなかった。そう、どんな状況においても構えることなく気軽に走れるのが、モータサイクルの根本が詰まったXSRの魅力といえるのではなかろうか。
あと、XSRで忘れてならないのは、ヤマハがモーターサイクルの世界観を伝えるのに用いている“FASTER SONS”。そう、ヘリテージカテゴリーのXSRは、FASTER SONSの世界観を具現化したモデルともいえるのだ。もし、FASTER SONSの世界観をこれまで知らなかったのならば、リンク先の動画を見てぜひとも知ってほしい。あらためて“バイクって楽しいな”と思えるはずだから。
続いて、このシリーズお約束の低身長女性目線でのインプレションをお届けする。
ライダーフレンドリーでかつ懐の深さがある
YZF-R7、MT-07に続き、今回XSR700に試乗したわけだが、3台中もっともまったりとリラックスして乗れたのがXSRだった。YZF-R7はそれこそポジションがスーパースポーツのソレで前傾姿勢はキツめだし、MT-07はポジションはラクだが走りはスポーツ走行向けで、ついつい速く走りたくなる楽しさがあった。対してXSRはもちろん速く走りたくなるようなトルクやパワー感を得られるのだが、ハンドルはワイドで高めに設定されているため、ゆったり走りたいという気分にさせてくれる。とはいえサクサク走ることも得意としていて、高速道路では本線への合流時にモタつくことなく、カーブの多いところでもハンドリングは軽快なのでワインディングで流して走るのは絶対に楽しいだろうなと感じた。また一定の速度で巡航している瞬間が一番心地がいい。しかも加速したい場面などで5速や6速に入れたままスロットルをひねると、ギクシャクすることもなく下から湧き上がってくるような加速を見せてくれる。MTやYZFのように本気で走りこむようなスポーツ走行向きではないかもしれないが、ツーリングには最適だし足つき性もバツグンなので、街乗りが多い人にもオススメしたい。
POSITION & FOOTHOLD
両足を降ろしてカカトまでベタ着きで、軽くヒザにも余裕がある。ステップに足を乗せた時のヒザの曲がりもキツくない。適度な幅のあるハンドルと前後にそこそこ動けるライダーシートの組み合わせにより、乗車時にシート上で動きやすい。身長170cm/体重70kg
シートの最前部がオフロードバイクのように細く絞られており、835㎜の数値からは想像を超える足つきのよさ。これまでまたがった旧車スタイルのネイキッドモデルとしては珍しく、両足の母指球まで接地し、かなりの安心感があった。身長155cm/体重46kg
SPECIFICATIONS
●全長×全幅×全高:2,075×820×1,130(㎜)●軸間距離:1,405㎜●シート高:835㎜●車両重量:188kg●エンジン種類・排気量:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒・688㎤●最高出力:54kW(73ps)/8,750rpm●最大トルク:67N・m(6.8kgf・m)/6,500rpm●燃料タンク容量:13L ●燃費(WMTC):24.6㎞/L●タイヤサイズ:F=120/70-17・R=180/55-17●価格:100万1,000円
CONTACT
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