ヤマハのピュアスポーツYZF-Rシリーズの1台。フロントアッパーカウルの真ん中に、ロードレース最高峰のMotoGPを走る同社のレーサー“YZR-M1”のアイデンティティであるM字型ダクトが配されていて、それがスポーティさを強調する。また、同様にYZR-M1を彷彿させるフロントフォークのアッパーブラケットやガソリンタンクカバーのスリットにより、またがった時に質感の高さが感じられるのも、乗り手をワクワクさせてくれる。
エンジンは1万rpmで最大トルク、1万2,000rpmで最高出力に到達する、いわゆる高回転型だ。250ccクラスの高回転型エンジンだと“低回転域のトルクが小さくて扱いづらいんじゃないの?”と思うかもしれないけれど、走り出せばすぐにそれは杞憂だとわかる。アイドリング状態からスロットルを開けていく際、開け始めからトルク不足を感じることはないし、回転の上がりも早いので不安にならないのだ。回転の上昇に合わせて速度もグングン加算されていき、スムーズに120km/hに到達。さらにそこから加速できる余裕がある。
車体は低速域から直進安定性があるので、それが乗っていて安心感につながる。かといってコーナーで車体を倒しこむ時に、その安定性が邪魔することはなくてライダーの入力に素直な反応を見せてくれるのだ。そして何よりポジションの自由度が高いのがいい。グリップ位置が高めなので上体の起きたネイキッドスポーツとほぼ変わらないポジションが基本となり、そこから前傾姿勢をはじめさまざまな体勢へスムーズに移行できるのだ。それゆえ、元気なエンジンと相まってサーキットなどでスポーツ走行を楽しめるし、ロングツーリングにも十分に対応できる。その懐の深さがYZF-R25の魅力なのだ。
続いて、このシリーズお約束の低身長女性目線でのインプレションをお届けする。
高い次元でまとまった走行性能
YZF-R25のデザインが変更になる前の2016年モデルに乗った記憶だと、ライディングポジションがネイキッド並みにアップライトだった印象がある。対して現行モデルはハンドルの高さが少し低くなったような感覚だ。スポーティなライディングポジションにはなったけれど、前傾姿勢がキツすぎるということもなく、ニーグリップがちゃんとできていればロングでも疲労を感じにくいという印象。
街乗りでは1~4速までを多用し、回転数は3,000~5,000rpmあたりが扱いやすく、都心の道路状況に合わせて走っていても心地がよいと感じた。ワインディングなどでは、“やっぱコーナーは軽く攻めてみたいからバイクを寝かせて曲がってみようかな~”くらいの気持ちでコーナーに進入していくと、意識せずとも車体がスッとバンクしていき、気持ちよくコーナーを駆け抜けることができて、純粋に“楽しい!”と思えた。
どれくらいの加速力があるのか気になったので、高速道路の本線合流時に思いっきりスロットルをひねってみた。7,000~8,000rpm付近でエンジンが元気よくなり、体感でわかるくらいグッと加速してあっという間に法定速度まで達した。このことからも加速力は申し分なしといえるだろう。
というように、外観のスポーティさと走らせた時の扱いやすさが同居したYZF-R25、あなたならどんなステージで楽しむ?
POSITION & FOOTHOLD
両足を下ろすと足が少し開き気味になるけれど、カカトまでベタ着きのうえヒザにも少し余裕がある。写真を見てもわかるように座面よりグリップ位置はだいぶ高い。お尻を前後左右に動かしやすく、伏せた状態でもゆとりを感じる。身長170cm/体重70kg
写真では足裏の1/3くらい接地しているように見えるけれど、実際の感覚では土踏まずあたりまで接地していて、足つきはいいという印象。足を下した際にステップがスネとやや干渉するけれど、大して気になることもない。身長155cm/体重46kg
SPECIFICATIONS
●全長×全幅×全高:2,090×730×1,140(㎜)●軸間距離:1,380㎜●シート高:780㎜●車両重量:169kg●エンジン種類・排気量:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒・249㎤●最高出力:26kW(35ps)/12,000rpm●最大トルク:23N・m(2.3kgf・m)/10,000rpm●燃料タンク容量:14L ●燃費(WMTC):25.8㎞/L●タイヤサイズ:F=110/70-17・R=140/70-17●価格:69万800円
CONTACT
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