MT-25は、ヤマハスポーツネイキッドシリーズ“MT”の1台として2015年から販売が続くモデル。“そもそもMTってどんな意味があるの?”という人のために簡単に触れておくと、MTは“Master of Torque(マスターオブトルク)”の略なのだ。そして、現在のMTシリーズ発売に合わせて『Master of Torque』というオリジナルアニメも制作されているので、知らなかった人は一度目を通してみるといいだろう。
実際の車両について、スロットル開け始めから不安を感じさせないトルクがあるから、まずは“マスターオブトルク”のネーミングに負けていないといったところか。さらに低速域から走行安定性があるのもいい。ここで勘違いしてほしくないのは、ハンドリングが鈍重とは違うってこと。低速から十分なトルクがあるので、その安定性の助けを借りて込み入った狭いスペースをキビキビとした動きで走り抜けることも可能なのだ。むしろ得意なほうだろう。
スロットルを開けていけば、スムーズかつすばやくエンジン回転数は上がっていき、速度もそれに合わせて上昇する。とくに5,000rpmあたりの加速感は、激しすぎない適度な勢いがあって心地よく感じるはずだ。120km/hに達してもさらに加速する余力があるので、高速道路を使った移動も問題ないだろう。ただし、アップライトなポジションなので、上体を起こして走れば走行風の影響をもろに受けることは覚悟してほしい。
ヤマハは今年からMTシリーズに“The Dark side of Japan(日本のダークサイド)”というテーマを掲げ、ナイトミーティングを開催するなどMTと夜との親和性を強調している。実際に光によって陰影が浮かび出やすいグラマラスなボディは夜の街中で映える。というわけで、これからの夜長の季節、家にこもるのではなく、MTで街中に繰り出すのは楽しそうだ。続いては定番となりつつある低身長女性目線でのインプレションをお届けしよう。
街中で活きる俊敏さのあるバイク
まずMT-25を見た時の第一印象は少し大きめだと感じていた。おそらくタンクカバーのボリュームがあるから大きく見えていたのかもしれない。しかしまたがってみると軽量で、足つきもよい点から安心感がかなりあった。アップライトなハンドルはヒジが軽く曲がるほどで、筆者のような小柄なライダーでも、大柄な男性でもなじめるサイズ感なのではないかと思う。
MT-25をとりあえず一言で表すなら“俊敏”だ。ヤマハが掲げているコンセプトがそもそも“大都会のチーター”なのだけれど、これがピッタリハマる言葉だ。R25と比較して圧倒的にハンドル操作が軽快で、交差点を曲がるだけでも楽しいと思えた。エンジンについては違いを感じることができなかったが、R25同様に街乗りでは1~4速、回転数は3,000~5,000rpmあたりが扱いやすい。軽快でシャープなハンドリングと、高回転まで吹け上るスポーティなエンジン特性が相まって、低速ギアの状態で回転数を高めに維持して、キビキビ走るとかなりの爽快感があった。R25と甲乙をつけがたいものの、渋滞が多い都心でのライディングだとMT-25に軍配があがり、裏路地を積極的に使いたくなる、そんなバイクだった。
POSITION & FOOTHOLD
両足を下ろすとカカトまでベタ着きのうえヒザにも少し余裕がある。足も下ろしやすい形状だ。シートは意外と前後長があって、さらに全体的に丸みをおびていてお尻を前後左右に動かしやすいうえ、上体を伏せた状態も作りやすい。身長170cm/体重70kg
両足の母指球まで接地し、シートが細く足を真下に下ろすことが可能。足つきは良好だがスタンドが長いため車両の傾き具合が大きい。またがった状態からの引き起こしは体格によってはコツがいるが、車体も軽いので慣れてしまえば余裕だ。身長155cm/体重46kg
SPECIFICATIONS
●全長×全幅×全高:2,090×755×1,070(㎜)●軸間距離:1,380㎜●シート高:780㎜●車両重量:167kg●エンジン種類・排気量:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒・249㎤●最高出力:26kW(35ps)/12,000rpm●最大トルク:23N・m(2.3kgf・m)/10,000rpm●燃料タンク容量:14L ●燃費(WMTC):25.8㎞/L●タイヤサイズ:F=110/70-17・R=140/70-17●価格:63万2,500円
CONTACT
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