MT-09の登場から4ヶ月後の2014年8月20日より販売が開始されたMT-07/ABS。スペックや装備だけを見ると、MT-09の廉価版にも感じられるのは正直なところで、エンジンはフツーの並列2気筒、フロントフォークも正立フォークだし、フレームも鉄だし、トラクションコントロールも付いてないし…。このように、MT-09と比較すればスペックや装備では見劣りするところがあるのも確か。しかし両方を乗り比べてみると「09よりも07の方が好きかも」なんて感想を持つ人は多い(それがプロのバイクジャーナリストであったとしても)。それは、大型バイクでありながら、街角の交差点を曲がるといった低い速度域でも走る楽しさを味わえるように徹底的に注力されたため。 クロスプレーン・コンセプト(スロットル操作に対して、ライダーが思い描くとおりのリニアなトルクを提供する設計思想)に基づき開発された水冷4ストローク 並列2気筒 689ccエンジンは、270°位相クランクを採用。90°のV型2気筒エンジンとよく似たトルク特性となる、トルクのムラの少ないリニアなパワー感が特徴となるが、MT-07ではそこへさらにダイレクトメッキシリンダー、1軸バランサー、オフセットシリンダー、小型設計クラッチなどを取り入れることで低中回転域での粘り強いトルクと扱いやすいパワーバランスを実現している。
新設計のフレームは、スチール製のダイヤモンドタイプ。エンジンの特性に合わせて設定されたという重心位置やホイールベース、スイングアーム位置なども相まってしなやか且つ、コントローラブルな車体特性に貢献している。また、リヤショックユニットをクランクケースに直接締結することで、フレームバランスの最適化と軽量化を追求。車両重量は昨今の大型バイクとしてはかなり軽量な179kg(182kg)に仕上がっている。 一見すると倒立フォークにも見えるフロントフォークは、インナーチューブ径Φ41mmの正立タイプ。フロントブレーキにはΦ282mmのウェーブディスクとサイドマウントの対向4ポットキャリパーが組み合わせられる。 メーターにはECOインジケーターも採用されるなど、燃費性能にも配慮されている。ハイオク指定であるMT-09と違い、MT-07はレギュラー指定であるうえ、定地燃費値で38.4 km/ℓ、WMTCモード値で24.1 km/ℓの低燃費を実現しているのだ。 さらに、MT-07/ABSで特筆すべき点はその価格設定。スタンダードモデルで70万円を切る69万9,840円、ABS仕様でも74万9,520円とリーズナブルな価格を実現している。 また、MT-09 ABSと同様に、MT-07 ABSにも2015年3月10日より新色となるマットシルバーが登場している。このカラーリングは、ヤマハのレースシーンを彷彿させるレースブルーをホイール&フレームに採用したモノ。販売価格はスタンダードカラーと同様の74万9,520円だ。
COLOR VARIATION
足つき性はどうなの?
並列2気筒エンジンを採用した車体は、またがってみると驚くほどスリム。600ccオーバーのバイクだとは思えないほどだ。身長175cm・体重70kgのモデルでヒザに余裕ができるほどの足つき性なので、女性でも不安は少ないだろう。車両重量も179kg(182kg)に抑えられているので、中型バイクと変わらない感覚で取りまわせる。
海外ではこんなカラーリングも
MT-09同様、欧州向けの2016年モデルではナイトフルオという蛍光イエローを採用したカラーリングもラインナップ。グラフィック自体はマットシルバーと同様のモノとなる。
日本未発売のバリエーションモデル・MOTO CAGE
海外ではMT-07のバリエーションモデルとして、MT-07モトケイジが発売されている。このモデルは、フレームに追加されたサブフレームや、ナックルガード、フロントカウル、アンダーガードを新たに装備するとともに、それらにヴィヴィッドなレッドを採用したスポーティな仕上がりが特徴。アクラポヴィッチ製のショートサイレンサーや、LEDウインカーなども採用している。
SPECIFICATIONS
車名(通称名) | MT-07/ABS | |
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型式 | EBL-RM07J | |
全長×全幅×全高 | 2,085×745×1,090(mm) | |
軸間距離 | 1,400mm | |
最低地上高 | 140mm | |
シート高 | 805mm | |
車両重量 | 179kg(ABS:182kg) | |
燃料消費率 | WMTCモード値 24.1 km/ℓ | |
定地燃費値 38.4 km/ℓ | ||
エンジン種類 | 水冷4ストロークDOHC 4バルブ 並列2気筒 | |
総排気量 | 689cm3 | |
内径×行程/圧縮比 | 80×68.5(mm)/11.5 | |
最高出力 | 54kW(73ps)/9,000rpm | |
最大トルク | 68N・m(6.9kgf・m)/6,500rpm | |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン | |
燃料タンク容量 | 13ℓ | |
エンジンオイル容量 | 3ℓ | |
潤滑方式 | ウェットサンプ | |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | TCI(トランジスタ式) | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
トランスミッション形式 | 常時噛合式6段 | |
ギヤ・レシオ | 1速 | 2.846 |
2速 | 2.125 | |
3速 | 1.631 | |
4速 | 1.300 | |
5速 | 1.090 | |
6速 | 0.964 | |
一次減速比/二次減速比 | 1.925/2.687 | |
キャスター/トレール | 24°50’/90 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C(58W) |
後 | 180/55ZR17M/C(73W) | |
ブレーキ形式 | 前 | Φ282mmダブルディスク&対向4ポットキャリパー |
後 | シングルディスク&片押し1ピストンキャリパー | |
懸架方式 | 前 | インナーチューブ径Φ41mm 正立フロントフォーク |
後 | スイングアーム,シングルショック | |
フレーム形式 | ダイヤモンド | |
乗車定員(人) | 2 | |
メーカー希望小売価格 | 69万9,840円(ABSは4万9,680円高) |
ヤマハ発動機お客さま相談室
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