走行性能と利便性を両立する軽二輪スクーター

個性の強いデザインをまとったコンパクトな軽二輪スクーターである。そのスタイリングが好き嫌い分かれるところだと思うのだが、ハマれば個性が強いだけに深く愛されるモデルだろう。国産スクーターというと足を置く場所にある程度自由度があって、かなりリラックスしたポジションで乗れるモデルが多い中、足の置き場はほぼ固定となるベスパやスカラベオといった欧州モデルに多いイスに腰かけるような乗車姿勢なのもこのモデルならではだ。
燃費を追求しつつ、走る楽しさも追い求めるBLUE CORE思想のエンジンは、アクセル開けはじめから応答性がよく、さらにトルクフルな印象。その特性と130kgと軽量な車体によってスポーティな走りを楽しむことも可能だ。また、155ccながら100km/h巡航は十分できるので、高速道路を使った長距離移動も苦にならない。加えて低速から直進安定性があるのに回頭性もよく、まさに乗り手の意思に寄りそったモデルといえる。ブレーキは前後とも効き具合がわかりやすいうえ、レバーをにぎり込んでいく途中で急に効き具合が変わることもないコントローラブルなブレーキといえる。
高いレベルでまとまった走行パフォーマンスだけでなく、利便性の高さも注目に値する。収納スペースが充実しているうえに、ヤマハ独自の“Yamaha Motorcycle Connect(Y-Connect)”と名付けられたアプリをインストールしたスマートフォンと連携すれば、メーター表示機能の拡張、最終駐車位置表示、エンジンオイルの交換時期の表示といったさまざまな車両情報が把握できるようになるのだ。そう、Xフォースは今の時代に則した軽二輪スクーターなのだ。
ここからは、小柄な女性ライダー目線でのインプレッションをお届けしよう。

ツーリングも視野に入ったパフォーマンス

インプレッション以外ではスクーターに乗る機会があまりない筆者。スクーターに対するイメージは、MT車と比べると“街乗りは最強で利便性◎”。でも…“スロットルレスポンスが鈍感”、“低速走行でフラフラする”など、ちょっとした偏見を持っている。だが今回乗ったXフォースでは、筆者が持つスクーターへのイメージはガラッと変わることになった。車体への第一印象は、全体的に腰高だということ。実際にまたがってみるとステップボードが高く、シートも高いので足つきも少し悪め。ただ、シートの最前部に腰を据えれば、なんてことない。走り出すためにスロットルを開けてみると、タイムラグをあまり感じさせない発進で、なめらかな走り出し。前車の速度に合わせて加速していくと、5500~6000回転付近から引っ張られるような加速を見せる。これはVVA(バリアブル・バルブ・アクチュエーション)という可変バルブ機構が採用されているからだ。このおかげで155㏄という排気量ながらに、追い越しなどで苦労することは一切ない。
個人的にはこれまで乗ったスクーターの中で(とはいってもそんな数は乗っていないのだが…)一番乗り味が好きなスクーターだった。これにはちゃんと理由があって、現在モタードを所有しているのだが、Xフォースの乗り味はモタードに一番近いと感じたからだ。
ヤマハの車両ページ内にも“幅広のモタード風バーハンドルは荷重がかけやすく…”と記載されていて、スクーターにあまり慣れていない筆者でも、すぐになじむことができ、重心が高めだからスパッとコーナーに進入することができるし、バンクさせてもステップボードが高いおかげで安心感があった。今回の走行は街乗りのみだったけれど、それだけの用途にしておくのはもったいない。ワインディングを含むツーリングに行ったらきっと楽しい、そんなスクーターだと思う。

 

5.1インチの液晶メーターには速度やエンジン回転数、オド、トリップ、時刻、燃料残量に加えて、スマートフォンと連携させれば、SNSの通知、通話着信なども表示される。

ハンドル右下にキーシャッター付きのメインキーシリンダーと5V2.0AのタイプA仕様のUSBソケットがある。その下には500mlのペットボトルが入るボックスを装備している。

ハンドル左下にはガソリン給油口があるため、セルフスタンドで車体から降りることなく給油することも可能だ。給油口ま右には何かと便利なコンビニフックがある。

センタートンネルがないフラットなステップボードによりさほど足を上げることなく乗車できるのはラクでいい。タンデムステップは可倒式で、押せば飛び出してくるタイプ。

シートはタンデム部までほぼフラットな一体型で、座面の表皮には滑りにくい素材を使用している。また、アクセントになってい白い糸を使ったステッチが、質感を高めている。

シート下トランクの容量は23.2Lあり、ディフューザーのないフルフェイスヘルメットが収納できる。シートのヒンジ部分の左右にはヘルメットホルダーも用意されている。

しっかりとした金属製のグラブバーは、スポーティな車体のスタイリングをくずさないデザインながら、シートバッグのバンドがとめやすかったりと利便性も考慮されている。

ツインショックとなるリヤサスペンションは、4段階でスプリングのプリロードが調整できる。自分の好みや積載した荷物などに合わせて積極的に調整してみてほしい。

 

POSITION & FOOTHOLD

両足を下ろしてカカトまでベタ着きなので、停車時に不安になることはない。足を置くスペースの自由度はないけれど、タンデムシートまでほぼフラットなシートによりお尻の位置をかなり大きく動かせるので、ポジションの自由度は高い。身長170cm/体重70kg

 

シートの最前部まで腰をズラせば両足のツマ先が接地し、ライディング時の着座姿勢を取ると、腰を左右どちらかにズラしてようやく片足が接地する。足つきは決して良好というわけではないのだが、車体が軽いので不安要素はあまり感じない。身長155cm/体重46kg

 

タンデムするとなるとライダーは前めに座ることになるが、フロントまわりからの圧迫感はなく、また後ろに乗られることでの窮屈感もない。タンデムシートがライダーシートとほぼ高さは変わらないが、もともとシートが高めなのでタンデマーがまたがる際は足を振り上げるか、タンデムステップに足をかけての乗車となる。グラブバーが備え付けられているので、加減速時は踏ん張りが効き、ライダーとは一体感ある乗り心地。シートは弾力があってやや硬めで、滑りにくいといった印象だ。

 

SPECIFICATIONS

●全長×全幅×全高:1,920×760×1,120(㎜)●軸間距離:1,340㎜●シート高:815㎜●車両重量:130kg●エンジン種類・排気量:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒・155㎤●最高出力:11kW(15ps)/8,000rpm●最大トルク:14N・m(1.4kgf・m)/6,500rpm●燃料タンク容量:6.1L ●燃費(WMTC):40.9㎞/L●タイヤサイズ:F=120/70-13・R=130/70-13●価格:40万7,000円

X FORCE ABS・ヤマハ製品ページ

CONTACT

問い合わせ先
ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
電話番号
0120-090-819
URL
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc

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