ラフ・クラフツは台湾を拠点にするショップで、クラシックとモダンの要素を融合させたハイエンドなカスタムバイクを作り上げてきた。高い技術とセンスで、台湾のみならず世界のカスタムバイクシーンを牽引する存在として注目を集めている。
今回紹介するマシンはアドベンチャーツアラーにカテゴライズされるヤマハのテネレ700だ。そのテネレ700をスリムで軽快な車体と、アップライトなライディングポジションが魅力のフラットトラックスタイルに生まれ変わらせた。ラフ・クラフツが注目したのは、Estenson Racingが手がけたYZ450Fベースのフラットトラックレーサーだったという。その刺激的なフォルムから着想を得て、製作がスタートした。
過去にFaber Studioとともにハスクバーナ・501スーパーモトやホンダ・CRF300Lでフラットトラッカーを製作した経験もあるが「501スーパーモトはストリートで過激すぎ」「CRF300Lはやや物足りない」というジレンマを抱えていた。そんなときFaber Studioにて整備中のテネレ700を見て『YZ450Fのフレームジオメトリーと結構似ているんじゃない?』と気づいたという。ヤマハCP2エンジンはストリートでも十分パワフル。理想のマシンを作れると、ベースに選んだのがテネレ700だったのだ。
まず、YZ450Fのアルミサブフレームを移植するため、テネレ700の重いスチール製サブフレームを撤去。配線を整理しつつテネレ700とYZ450Fのフレーム形状を考慮したアルミガソリンタンクを製作。容量は6.8Lが確保され、YZ450Fの外装をスムーズに装着できるように工夫したという。
次にオーリンズのフロントフォークやリヤショックを導入し、フラットトラック向けに車高を調整。ホイールはローランド・サンズ・デザインのTraction(フロント)とHammer(リヤ)を採用し、視覚的なインパクトも高まっている。ブレーキはベルリンガーのスーパーモト用キットで制動力を向上させた。メーターはコーソーの GPS スピードキットでさらなる配線の簡素化に成功。
マフラーは当初低い位置に2本通す構想だったそうだが、YZ450Fの外装デザインを活かし、高低差をつけたデュアルレイアウトに変更。エアフィルターはDNA、スプロケットはKCT、チェーンはRKを組み合わせ、最終的に車両重量は燃料込みでも158㎏と、ストック状態のテネレ700よりも大幅な軽量化を達成しているというから驚きだ。
ラフ・クラフツはこのマシンを『YenereZ 700 FT』と命名。ストリートでの実用性とフラットトラックの刺激を融合させたテネレ700カスタムは、カフェレーサーやスーパーモトにはない独特の存在感を放つ。どんなパフォーマンスを味わえるのか…。一度乗ってみたいと思わせる1台だ。
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