1998年1月16日に販売を開始したVTRは、ホンダ伝統の水冷4ストロークDOHC 4バルブ V型2気筒エンジンを搭載するネイキッドモデルだ。 1998年の初登場以来、2000年、2002年にマイナーチェンジを受けるものの、基本的なパッケージングはそのままに約10年間にわたり販売を継続。そして、2009年にフューエルインジェクションを採用し新たに生まれ変わり、2014年にはラジアルタイヤの新採用など、長きにわたり熟成が続けられている。 VTRの代名詞ともいえるVツインエンジンは、1982年に登場したVT250Fに端を発し、その後もさまざまなモデルに採用され、30年以上にわたり改良を受けてきたのだ。1982年のVT250Fに始まり、2007年までの25年間で同様のパワーユニットを搭載するVTシリーズの累計生産台数は20万台を突破(ホンダ調べ)しているというから、その熟成具合も納得できる。 ボア×ストロークを60×44.1に設定した249ccの90°V型2気筒エンジンは、最高出力で32ps/10,500rpm、最大トルクで2.4kgf・m/8,500rpmを発揮。低中回転域でのトルクフルなエンジン特性と、高回転域での吹け上がり感を重視したセッティングとなっている。また、ミッションも従来機種で採用していた6速ではなく、あえて5速化することで扱いやすさを追求する。 なお、2009年のモデルチェンジの際にはフューエルインジェクション化に伴い、若干のパワーダウンをしており、最高出力は22kW(30ps)/10,500rpm、最大トルクは22N・m(2.2kgf・m)/8,500rpmとなっている。
トラスフレームを採用したシャシーは、スイングアームをエンジンに直接接続するピボットレス構造とし、低速域でのしなやかさと高速域での安定性の両立が図られている。足まわりはフロントにインナーチューブ径Φ41mmの正立フロントフォーク、リヤにシングルショックを採用。ブレーキシステムは、フロントにΦ296mmシングルディスク&片押し2ポットキャリパー、リヤにΦ220mmシングルディスク&片押し1ポットキャリパーの組み合わせだ。 この基本的な構成はそのままに熟成が続けられているVTRのシャシー。2002年12月のマイナーチェンジでは、シート形状の変更&サスペンションセッティングの変更により、シート高が初期モデルの780mmから、20mm低い760mmに。 2009年のモデルチェンジでは、シートレールの新設計に伴い、フレームの剛性バランスが見直され、よりしなやかでニュートラルなハンドリングが与えられている。さらに、2014年のマイナーチェンジではラジアルタイヤを新採用に合わせて、リヤショックのセッティング変更が行なわれた。 エクステリアデザインは、トラスフレームが目を引くシンプルかつスポーティな仕上がり。スリムなボディデザインと、オーソドックスなライディングポジションもVTRの大きな魅力で、体格を問わず安心感をもって乗ることができるよう注力されている。初期モデルのデザインを踏襲しつつも、2009年のモデルチェンジではデザインが一新されている。
1998年モデルと2013年モデルを見比べてみると
右が初代VTRで、左がモデルチェンジ後の2013年VTR。2009年のモデルチェンジの際に、フロントまわりのデザインは初代を踏襲しているものの、タンク、シート、テールカウルにかけてのデザインを一新。より軽快感あふれる印象を獲得するとともに、ヒンジ式のタンクキャップの新採用やシート下収納スペースの新設、荷かけフックの増設(2ヶ所から4ヶ所に)など、使い勝手の向上も図られている。
2014年にはVTR-Type LDも登場
2014年のモデルチェンジで新たに追加されたVTRタイプLD(画像左)は、スタンダードモデルのVTRよりもさらに15mmシート高の低い、740mmのシート高設定となるローダウンモデルだ。シートの厚みなどはそのままに、ラジアルタイヤの採用に伴うリヤタイヤの扁平率の変更によるタイヤの小径化と前後サスペンションの専用セッティングなどで、シート高が下げられている。 カラーリングはタイプLDのみの専用色となるマグナレッドと、ホワイトの2色展開とするなど、女性ユーザーを意識した仕上がりだ。
COLOR VARIATION
1998年
2000年
※上2色のスタンダードカラーに加えて、全108タイプのカラーオーダープランを設定
2002年
※上2色のスタンダードカラーに加えて、全52タイプのカラーオーダープランを設定
2007年
2009年
2010年
2012年
2013年
2014年
SPECIFICATIONS
一次減速比/二次減速比2.821/2.928
車名(通称名) | VTR/Type LD(2016年) | |
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型式 | JBK-MC33 | |
全長×全幅×全高 | 2,080×725×1055[1,045](mm) | |
軸間距離 | 1,405mm | |
最低地上高 | 155[145]mm | |
シート高 | 755[740]mm | |
車両重量 | 160kg | |
燃料消費率 | WMTCモード値 -km/ℓ | |
定地燃費値 40km/ℓ | ||
エンジン種類 | 水冷4ストロークDOHC 4バルブ V型2気筒 | |
総排気量 | 249cm3 | |
内径×行程/圧縮比 | 60×44.1(mm)/11 | |
最高出力 | 22kW(30ps)/10,500rpm | |
最大トルク | 22N・m(2.2kgf・m)/8,500rpm | |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン | |
燃料タンク容量 | 12ℓ | |
潤滑方式 | 圧送飛沫併用式 | |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | フルトランジスタ式 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
トランスミッション形式 | 常時噛合式5段 | |
ギヤ・レシオ | 1速 | 2.733 |
2速 | 1.800 | |
3速 | 1.375 | |
4速 | 1.111 | |
5速 | 0.965 | |
キャスター/トレール | 25°30’/96mm | |
タイヤサイズ | 前 | 110/70R17M/C 54H |
後 | 140/60R17M/C 63H | |
ブレーキ形式 | 前 | Φ296mmシングルディスク&片押し2ポットキャリパー |
後 | Φ220mmシングルディスク&片押し1ポットキャリパー | |
懸架方式 | 前 | インナーチューブ径Φ41mm 正立フロントフォーク |
後 | スイングアーム,シングルショック | |
フレーム形式 | ダイヤモンド | |
乗車定員(人) | 2 | |
メーカー希望小売価格 | 59万8,320円[60万9,120円] |
※[ ]内はタイプLD
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