11年ぶりに復活したカワサキファクトリーが26年ぶりに鈴鹿を制す
最終ラップで転倒もすばらしい走りで観客を魅了
鈴鹿8時間耐久ロードレース(以下鈴鹿8耐)は、毎年7月第4日曜日に開催される真夏のバイクの祭典だ。2人ないしは3人のライダーが1台のマシンを乗り継ぎ、8時間走り続けて勝敗が決まる。国内はもちろん、海外のトップライダーたちが出場することもあり、毎年世界から注目を集めているレースの一つでもある。
今年の鈴鹿8耐は、5連覇を狙うヤマハファクトリーレーシング(ヤマハ)、ワークス体制2年めとなり優勝を狙うレッドブルホンダ(ホンダ)、そして11年ぶりに復活したカワサキのワークス・カワサキレーシングチーム鈴鹿8h(カワサキ)と、3メーカーがファクトリー態勢。11時30分にスタートを切った決勝レースは、第1回大会から出場しているプライベーターの雄・ヨシムラスズキや、昨シーズンの世界チャンピン・F.C.C TSR フランスホンダ、優勝経験のあるハルク・プロなども健闘したが、優勝争いの中心となったのは序盤からファクトリーのカワサキ・ヤマハ・ホンダだった。そして終盤、カワサキのジョナサン・レイ選手が前を行くホンダの高橋 巧選手を捉えてトップに浮上。チェッカーとなる19時30分まで、残り時間を考慮するとこのままカワサキが優勝かと思われた瞬間、なんとレイ選手が転倒。レースは赤旗中断、再スタートすることなくそのまま終了となった。これによって当初は、ヤマハが優勝となり表彰式も行なわれたのだが、その後の審議の結果、カワサキの勝利が決定。26年ぶりにカワサキが鈴鹿8耐を制した。
♯10 カワサキ レーシングチーム鈴鹿8h
♯21 ヤマハファクトリーレーシングチーム
♯33 レッドブルホンダ
シリーズチャンピオンもカワサキのチーム
2018-2019シーズンフル参戦した日本のチーム
鈴鹿8耐は世界耐久ロードレース選手権の中の一戦。鈴鹿8耐に出場する多くの日本チームは鈴鹿8耐のみに参戦というのが多いが、なかには全戦出場している日本のチームもいる。それが#1 F.C.C TSR フランスホンダ(以下TSR)と、#4 エヴァRTウェビックタチチームトリックスター(以下トリックスター)だ。TSRは昨シーズンの世界チャンピオオンで、トリックスターは今シーズンはフランスのチームとコラボしての参戦。鈴鹿8耐ではTSRが4位、トリックスターが48位でチェッカー。シリーズランキングはTSRが世界2位!! トリックスターは世界15位となった。
♯1 F.C.C TSR フランスホンダ
♯4 エヴァRTウェビックタチチームトリックスター
鈴鹿8耐で奮闘した若手たち
♯3 KRP 三陽工業&will raise RS-ITOH 岩戸亮介選手 (21歳)
2018年に全日本ロードレース選手権J-GP2クラスでシリーズチャンピオンを獲得し、今年からカワサキのトップチーム・チームグリーンに加入。最高峰のJSB1000で活躍中の岩戸選手。今回の鈴鹿8耐では大先輩の柳川 明選手たちと組んで参戦。決勝はエンジントラブルに見舞われてしまったものの、序盤は勢いのある走りを見せ上位を走った。
メカニック
#69 山科カワサキ&オートレース宇部with YIC京都・BRは、YIC京都工科大学の生徒たちがメカニックとしてチームに入っている。もともとレースが好きで同校を選び、鈴鹿8耐のチームスタッフに立候補する学生もいれば、観戦して興味を持ちチームに入った学生など動機はさまざまだが、全員がまさに一生懸命。メカニックなど、スタッフのなかにもこのようにレースに興味を持ち、支える若手がいるのだ。
イベント編
鈴鹿8耐は真夏のバイクの祭典ともいわれる。それはレースだけでなく、さまざまなバイクの催しが開催されるから。今年も二輪メーカーのブースや、試乗会、ライダーたちのトークショーなどが行なわれ、多くの来場者がそれらを楽しんでいた。