【連載】BMWの誇るアドベンチャーモデル“GSシリーズ”をもっと知ろう!PART.3 後編

文:松井 勉

前回のあらすじ

この記事はBMWのGSシリーズを深く知ってもらうための連載 PART.3の後編です。前編をまだお読みでない方は併せてどうぞ。

【連載】BMWの誇るアドベンチャーモデル“GSシリーズ”をもっと知ろう!PART.3 前編

GSが持つアドベンチャーツーリング。その真髄を味わう世界大会。それが、インターナショナルGSトロフィー!

未知の場所、自分が未踏の大陸へ。それがどんなに遠くてもBMWのGSならその冒険心にしっかりと応えてくれる。舗装路も未舗装路も楽しみ尽くす旅バイク。そのGSを楽しむ人の中から各国代表を集め、世界屈指のアドベンチャーフィールドで行なわれるのがインターナショナルGSトロフィー。

 

前回、そのアウトラインとして、2008年から2020年の間に、2年に1度、7大会が行なわれた歴史を振り返りました。今回はルーティンどおりに次回が開催されたとしたら、2022年に地球上のどこかすばらしいフィールドを舞台に開催される次回インターナショナルGSトロフィーに向け、ご覧のみなさんのハートに火を付けたいと思います。

 

それに向けた準備の進捗、開催の場所などは、開催前年に発表されるのがここ数回の習わしになっています。

 

つまり、来年、2021年にはそれが発表され、さらに過去の例をたどれば、2021年に国内での選考会が行なわれ、秋を目処に代表選手3名が決まる…。というルーティンが続いています。
そう、インターナショナルGSトロフィーを目指すならば、準備開始するタイミングは今だといってもいいでしょう。

 

ただし、日本代表の座は3名。そして、過去3回に渡ってインターナショナルフィメールチームへの選考会への切符は過去日本では2枚のみ。これ、まだ次回の人数などはアナウンスがないので、次回も2名だと想定しても、狭き門です。

 

しかも、女性チームは、国際選考会に参加し、2020年のニュージーランド大会のケースでは、2チーム、6名の女性ライダーたちが選考されるというまさに世界選抜級の難易度でもあります。日本から過去2回、水谷あいさん、吉田美恵子さんの2名が国際予選会に参加しています。

インターナショナルGSトロフィーフィメールチーム 2017年国際選考会
インターナショナルGSトロフィーフィメールチーム 2017年国際選考会

しかし、参加へは情熱を持って挑戦をしてください。過去、7回のGSトロフィーへ、皆勤賞チームであるジャパンは、次回もきっとベストライダーを大会に送り込むに違いありません。

インターナショナルGSトロフィーに参加するための条件

おさらいになりますが、インターナショナルGSトロフィーへの参加条件としては…

  • GSオーナーであること。
  • 国内選考会にエントリーできること。
  • GSトロフィーに参加するのに相応しい次の要件を満たしていること。
    • 長距離、長期間のアウトドア生活に耐える体力
    • オンロード、オフロードを問わないライディング技術
    • 海外選手や主催者とのコミュニケーション力
  • 最後に一番大切なのが、本番に参加できる時間調整をできる人。

などとなります。いわば、各国のGSアンバサダーを選ぶのに同義でもあり、人間性も大切なファクターになるように思います。

GSトロフィー経験者に質問インタビュー

今回は、過去のインターナショナルGSトロフィーに参加した3名のトロフィー経験者に次なる質問をしてみました。開催国は別々。1度代表になると2度は行けないというルールがあるため、本番までへの道のりが全て、と思いがちですが、彼らの思いを知ると、その後のほうにも大きな影響を与えていることが解ります。

 

質問はシンプルに3問。

  1. ご自身のGS歴を教えてください。
  2. GSトロフィーに参加する前、参加後では何が一番大きく変わりましたか?
  3. これからGSトロフィーを目指す人にアドバイスをお願いします。

この3問がたたいた代表経験者の心のトビラの先をどうぞ、ご覧ください。

2008年 チュニジア大会日本代表
原 豪志さん(埼玉県在住)

BMW Motorrad 2008年インターナショナルGSトロフィー チュニジア大会日本代表 原 豪志さん埼玉県越谷市にあるBMWモトラッドディーラー、MSC原の代表を務める原さん。高校時代までモトクロスに夢中になり、国際B級までなった腕前。第一回となるチュニジアの砂漠で、サハラ砂漠の未知なる砂の難しさを体験した一人。

原さんのGS歴を教えてください。

原:21年になります。 99年にR1100GSに乗り始め、R1150GS、2004年R1200GS、HP2ENDURO、そして2013年に水冷化されたR1200GSに乗り換えました。現在はR1250GSと歴代GSを乗り継いでいます 。

GSトロフィーに参加する前、参加後では何が一番大きく変わりましたか?

原:仲間が増えました。それまで、ただ自己を満足させるためだけに行なってきたツーリングやラリーからGSで走ることの楽しさをもっと多くの人と共有したいと考えるようになりました。自分が参加したのは第一回の2008年ですので12年経っていますが、その思いは変わりません。GSの魅力、その世界観を世界で一番濃厚に経験できるのがGSトロフィーだったように思います。

これからGSトロフィーを目指す人にアドバイスをお願いします。

原:WEBなどでGSトロフィーと検索すると、各国の代表がGSを岩場などから人力で引き上げたり、ロープで牽引している競技の映像をよく見ると思います。しかしそれはGSトロフィーの日程の中で、毎日、数回行なわれるチャレンジの中の一つ。トロフィーの行程の多くはその年の開催国をアスファルト、ダート問わず約1週間移動を続ける旅の要素の多いイベントだと思います。

 

日本では経験できないような景色の中を現地の移動速度、その多くは日本よりも高いアベレージ速度で連日走り続けるツーリングでもありました。マシンの消耗はもちろん自らの体力、技量を理解しマネージメントして走り続けることがとても重要で、日ごろからご自身のGSで林道、舗装路でのツーリングやラリーなど多くの経験を積むことでインターナショナルGSトロフィーに参加した時より楽しむことができると思います。

2016年 タイ大会日本代表
諸原 努さん(長野県在住)

BMW Motorrad 2016年インターナショナルGSトロフィー タイ大会日本代表 諸原 努さん諸原さんは国内の選考会に何度もトライし、ついに2016年、GSトロフィーへの参加をはたした人です。長身ですが屈強な体格ではなく、しかし、努力家でバイクとの対話をしっかり取れるクレバーさを持ち合わせるGS乗りです。参加後は、毎年、長野県白馬村で開催される年に一度のBMWモトラッドのお祭り、モトラッドデイズの会場でGSトロフィーを知ってもらおうとブースを出展。写真の展示や、参加時に支給されるウエアの展示、ブースを訪れた人とのコミュニケーションを図るなど積極的にGSの世界を発信する一人です。GSトロフィーへの思いが人一倍熱く、そのブースにはつねに日本代表が集っているという輪を作った人でもあります。

諸原さんのGS歴を教えてください。

諸原:GSに乗って17年です。私のGS歴はF650GS、F800GS、R1200GS、そして現在乗っているR1200GS”GS Trophy“ です。このバイクは、実際にタイの大会で自分が使用したものを買い取り、日本に輸入しました。

GSトロフィーに参加する前、参加後では何が一番大きく変わりましたか?

諸原:一言で言うと人生観そのものが変わりました。あきらめずチャレンジすること、チャレンジを楽しむこと、人とのつながりを大切にすること、自分の可能性を信じるなどなど毎日の生活の考え方がポジティブにガラッと変わりました。

これからGSトロフィーに参加する人にアドバイスをお願いします。

諸原:不思議なのですがGSトロフィーを目指すだけで価値観が変わりますよ。GSトロフィーを目指していることをカミングアウトしてGSワールドに飛び込んでください。チャレンジを楽しむ世界へようこそ!

2018年 モンゴル大会日本代表
小笠原勇樹さん(広島県在住)

BMW Motorrad 2018年インターナショナルGSトロフィー モンゴル大会日本代表 小笠原勇樹さん小笠原さんは2008年のGSトロフィーが掲載された雑誌の写真を見て「あ、GSに乗ればこんなところも走れるんだ」と思い立ちR1200GS Adventureに乗り始めました。それから4度目の国内選考会で代表の座を獲得。毎朝、仕事前に近所の山でトレールランニングを続け、長野県白馬で行なわれた最終選考会でも、フィジカル部門で高いポイントを獲得。会場となったスキーゲレンデをランニングで駆け上り、スタート地点まで整備車両用の林道を走りながら戻るルートで、選考委員会が想定した時間の半分以下でフィニッシュ。スタッフをあわてさせるほど、抜群のフィジカルの持ち主です。

小笠原さんのGS歴を教えてください。

小笠原:2008年3月に最初のGS、R1200GS Adventure を手に入れ、11年4ヶ月、16万4,101kmをともにしました。現在は、R1200GS Rally。走行は9,161kmです。このバイクは、2018年のモンゴル大会で自分が使用したGSを輸入し、2019年8月から乗っています。

 

GSは1980年誕生40周年、自分も1980年生まれの40歳。 2008年、R1200GS Adventure を乗り始めた年に、第1回GSトロフィーが開催されました。 2012年、2014年、2016年大会の予選に参加、GSトロフィー2018モンゴル大会出場。 今まで何をやっても中途半端だった自分が覚悟を決めて本気で取り組みました。 その結果参加できることになったときは、とてもうれしかったのを覚えています。 これからもGSとともに年を重ねていきます。

GSトロフィーに参加する前、参加後では何が一番大きく変わりましたか?

小笠原:参加する前と後では本当に人生観は変わります。GSトロフィーを経験したことによってあらためてGSのよさが理解でき、今まで以上にGSが好きになりました。そして何よりGSを通して世界中の人との一体感を感じることができたことは自分の人生にとって、とても大きなことでした。

 

テクニック、体力なども大切ですが、それよりもっと大切な何かを見つけられるはずです。私自身、大会中にも考え方が少しずつ変わっていったと思います。大会参加後は視野が広くなったというか、ひとまわり自分が大きく成長した気がします。物事を表面だけでとらえず、本質を考えるようになったと思います。人生がとても充実した気がします。GSトロフィーの余韻はまだ続いています。これからも挑戦する気持ちを持ち続けたいです。

これからGSトロフィーを目指す人にアドバイスをお願いします。

小笠原:GSトロフィーは12年前の自分からしたら本当に夢の世界でした。初心者だった自分でも時間はかかりましたが出場することができました。誰にでも可能性はあると思います。 普段からGSをとことん楽しんでいる人にこそチャレンジしてほしいし、長距離ライディングできるタフさもあればもっと本番は楽しめるはずです。自分はGSトロフィー参加までの10年間、ほぼ毎日GSに乗っており、通勤、買い物からロングツーリング、タンデムツーリング、キャンプ、林道までとにかく暇さえあれば雨でも乗りまくっていました。GSはすべて受け止めてくれました。モンゴルでのGSトロフィー本番で、長い距離を走ることに不安はまったくありませんでした。大会全体を通じて2,200km以上走っても、もっと走りたいと思いました。

 

GSにまだ乗ったことのない人も乗ってみたらすばらしさにすぐ気付くはずです。そしてぜひGSトロフィーを目指してください。自分が成長する過程、準備する期間も含めきっと一生忘れることのできない経験ができるでしょう。

GSの世界、GSトロフィーもその一部。

トロフィーライダーのみなさん、ありがとうございました。そして、未来のトロフィーライダーのみなさん、いかがですか? 実際に日本代表は狭き門であることに間違いありません。しかし、トロフィーライダーを経験した3名、あるいは、過去に私が話をしたほかのトロフィー経験者も異口同音、その世界を体験したことで広がったGSワールドを語ってくれました。

 

つまり、GSに乗り、GSで走ること。それがキッカケでとなりすでにユーザーの心の中には同様の変化が始まるのです。世界への入り口。そんなバイク、GS。40年という歴史があるから、だけではない深い世界にあなたもぜひ!

 

BMW Motorrad 2020年インターナショナルGSトロフィー

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