ライディングスクールに行ったことがあるって人、いるでしょーかっ? あくまで私見なんだけど、さほど多くはないんじゃないだろうか。かくいう僕も行ったことがなかった一人で、その理由は“スクールなんて勉強でしょ? 退屈だよ! それにお金をかけて参加するなんてちょっとなぁ…”といったものがあった。
バイクの乗り方なんて人によって自由だし、仮にニーグリップをせずに大股を開いて走ったとしても、「ちょっとそこのキミ!」なんて呼び止められることはない。
ただ、自由度があるとはいえ、カッコいい乗り方、ダサい乗り方、安全な乗り方、不安定な乗り方があるのもまた事実。バイクの歴史は長く、マシンの技術が磨かれて来た一方で、〝乗り方”の技術もまた先人たちによって研鑽され“カッコいい!”とか〝美しい!”と高い評価を得る乗り方もあるのだ。
僕を含め、“カッコいいから!”という理由でライダーになった人は多いんじゃないだろうか。それなら、乗り方もカッコよくなったほうがイイと思わないか? どうせ走るなら、“アイツかっこいいな!”と一目置かれる走りをした方が、絶対楽しいしモテると思うのだ。
また、食わず嫌いでどんなものかを体験することなく、スクールがなんたるかを語るのも業界にたずさわる一人としてどうかとも思う。そこで、その実態を知るべくスズキの北川ライディングスクールへ潜入することにしたのだ。
主催するのは20年以上のレース参戦歴を持ち、世界耐久選手権で2年連続チャンピオンを獲得した北川圭一氏! “耐久レースにおいて必要となる安定感は、日常の安全な走行にも活用できる!”という考えのもととり行われているんだそう。講師陣の経歴も華々しい。
スクールが開催されると、準備運動、続いて乗車姿勢のレッスンが始まる。正直、“まぁ、スクールってそんなものだよね…”とのんびり気構えていたら、続いてインストラクターのキレのあるスラロームが披露されることに! そして、“じゃあ、みなさんやってみましょう!”といわれ、あっという間にコーススラロームにチャレンジすることになったのだ。
Uターンやブレーキングなどツーリングで必要不可欠な操作も練習し、昼食をはさんで午後はひたすらコーススラロームを行なう。はじめはコースを覚えるのに精いっぱいだったけれど(笑)、時間が許す限りひたすら練習できるので、“次はあのコーナリングをもっと小さくやりたい!”“あそこのストレートでもっと加速したい!”といったように、自分なりの課題を見つけてひたすら、汗をかき続けることができた。スクールで勉強しているというよりスポーツをやっている気分で、ちょっぴりアドレナリンがたぎったのを感じたしだい。もちろんムリは禁物だけど、ストレス発散!な一面もあるのが魅力的である!
お弁当が用意されているほか、参加者がプレゼントをもらえる大抽選会や、大学教授として活躍する山口直範インストラクターの安全に関する講義も行なわれた。“安心”と“安全”の違いって、みなさんわかりますか?
バンディット1250SにV字型に棒が取り付けられ、その先端にタイヤが付いている!この装備は〝アウトリガー”といって、車体をある一定角度までバンクさせると、先端のタイヤが接地してそれ以上バンクできないようになるこのスクールの特製品。転倒するまで車両が寝ないから、普段バンクさせるのが苦手な人も、安心して〝車両をバンクさせるにはどうしたらいいのか?”を学べるというワケである。実際に僕もチャレンジしてみたのだけど、車両を傾けるにはどのぐらいの速度を出せばいいのか? 目線はどこに移せばいいのか?といった、普段なら車両がズルッと転びそうで集中できない箇所を冷静に見極めるいい機会になったぞ! こんな体験ができるのは世界でココだけ!!
正直、こんなにガッツリ走ったのは初めて…。受けたアドバイスをもとに、“次こそは小さくUターンするぞ!”などと目標を立てて意気込むのが楽しい! 初参加なのに、はじめとくらべ大分走りがサマになった…気がする!
参加者にはリピーターがかなり多いということからも、このスクールが退屈な勉強会ではない…ということがうかがえる。いい汗をかいて走り回りながら課題を見つけ、達成し、カッコいい走りと安全走行を身につけられる…。そんなところが、このスクールが12年もの間続いているヒケツなのではないだろうか? もちろん初参加者も大勢いて、「リターンライダーなんですけど、ちょっと自分にはオーバースペックなバイクを買ってしまって…。公道で練習することはできないので、こういった場所で思う存分マシンを動かせるのはうれしいです!」と語ってくれた人もいた。
“スクールだから”と敬遠している人にこそ、一度ダマされたと思って参加してみて欲しい。普通にすごしていたらまず味わえないワクワクが、ギュギュッと詰まっていたぞ!